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Third Art Gallery + Colorz Consulting Office
都市建築の凝縮によるアート・ワークスペース
東京都千代田区平河町の超高層複合施設「みどりコート平河町」の低層エントランス内の1区画に、Colorz国際税理士法人/Colorz Consulting(株)が企画運営するアートギャラリー「Third Art Gallery」と、一体的に活用される同社オフィス機能を設える内装計画である。医・職(食)・住を満たす高質な都市建築の低層部に不足していた文化施設を加えるにあたり「都市建築自体の空間・デザインを引込んで凝縮し、展開するような内装空間・デザイン」を追求することで、一区画の内装デザインのみでありながら都市建築全体の魅力への遡及性を高め、またそのこと自体が、純粋な1アートギャラリー・オフィスとしての固有性や価値をも相乗的に高めていく、そのような都市建築とテナント内装双方のwin-winの関係構築を目指した。

複数素材のシンプルな形態・操作による複合的な豊かさ
当都市建築の共用部では、石・木・ステンレス・ガラスといった複数素材を、箱や板といったプリミティブな形態に仕上げ、それらの張出し・噛合せ・L型雁行等の操作によって、シンプルで端正ながらも複合的な豊かさを持つ空間デザインが行われている。当区画内装においても、造作家具サイズにスケールダウンしながら、共用部同様の複数素材の箱・板形状の張出し・嚙合せ・L型雁行操作を展開することにより、機能的に必要な展示台・テーブル・ベンチ・デスク等を造作し、共用部と連続する空間の複合的な豊かさを更に高めることを目指した。
隣接各面ごと共用部意匠との細やかな連動
当区画外周の共用部境界面は、面ごとにその周囲の建築共用部と密接に関わり合うように配慮して当初の都市建築設計が行われている。隣接各面ごとの周辺共用部意匠を読み解き、その拡張と展開により、依って立つ都市建築共用部と連続的でありかつ固有性を持ったデザインに注力した。

共用仕上の拡張・展開① ー白大理石アジャックスー
隣接共用廊下の壁仕上げ大理石アジャックスは、共用廊下と連続する当区画内壁の1面にもベース仕様として仕上げられていた。テナント区画内にも共用意匠を貫入させる建築の設計意図を汲み、当該壁面に面する展示棚、ベンチは同じアジャックス仕上で拡張し、他造作家具にも展開した。

共用仕上の拡張・展開② ー木・ステンレスー
全面SUS建具ガラス面を介し、共用廊下側の木調ルーバー仕上と隣接する区画南東面では、SUS建具を拡張・展開するSUS HL調の袖壁・各所造作家具、ルーバーから面材に変形させながら形成する木調の内壁・造作家具により、共用仕上を引込んで拡張・展開し、この場固有の空間を創出した。

共用仕上の拡張・展開③ ーガラスー
エントランスホール吹抜を介し外部空間と近接する区画西面では、2重の共用全面ガラスにより外部空間が大きく取り込まれていた。共用ガラスを拡張・展開し、面するリブガラス厚19mmと揃えたガラスを縦横に噛み合わせた展示台を造作した。ガラスという素材が持つ物質性を最大に引き出しつつ、その透明性で窓際を彩る緑、奥の外部空間も重層した背景として活かす、この場所の固有性を最大化する展示空間を創出した。

生きたアート/建材としての緑
植栽デザイナーNenouwasaと協働して厳選した各所の緑は「生きたアート」として空間を彩ると共に、一室空間の中に複数のエリアを生み出す柔らかな境界構築、他展示アートの背景となる等、建材としての機能も精密にコントロールして複合的に機能させた。直線造作のフレームを超えて生きるアート/建材としての緑が、一室空間の中に様々な居心地の良い居場所を作り出している。

シンプルな線の複合構成による照明計画 ーコストパフォーマンスに優れたテナント天井計画ー
本計画ではコスト・工期の両面の制約より、変更する場合ビル側業者施工(B工事)となる、照明器具以外の天井・空調・防災設備は変更せず既存を流用することが条件となった。共用部と連動する内装同様、シンプルな線で複合構成を描く照明計画により、一般的にテナント内装やり替えを前提に意匠整理されないテナント内既存スケルトン天井設備のランダム性もデザインとして昇華するコストパフォーマンスに優れた天井計画とした。

スプリンクラー散水障害を避ける斜め壁で生み出す、開閉度の異なる作業ブース
縦横に細やかに寸法調整した家具、樹種と枝振りで厳選した植栽とその配置により、ギャラリー/オフィス機能を散在させながら緩やかに区切りゾーニングしている。オフィスエリアに2席設ける集中作業ブースの中央間仕切壁は、先述条件で既存活用する天井スプリンクラーに向いた斜め壁とすることで散水障害を避けながら、エリアが一望でき開かれた席と、より集中を高める閉じた席と対比的なニーズに応える席を生み出した。

プリミティブな素材の複合配置で満たす風水の良気
共用意匠の凝縮により今回内装各所で使用する各素材は、そのプリミティブさにより、古来の風水が求める素材との連動が見られる。「木」材仕上げ、「水」を想起させる透明さと青のガラス、「土」を思わせる黄褐色の土調塗材、「金」属のステンレス調仕上、、これらの素材の配置は、隣接共用部との連動性に加え、より高次な指標である方角において、風水の良気を呼び込むように留意して配置した。プリミティブな素材が持つ複合的な機能や可能性、物語を可能な限りたくさん引き出すことで豊かな場を作る。シンプルデザインの中に豊かさを込める手法の一例である。

複合的な豊かさを生む、細やかな寸法設定家具が実現するギャラリー/オフィスとしての柔軟性
各所の造作家具は、箱・板といったシンプルな形状ながら縦横に細やかに寸法設定を行って集合させることで複合的な豊かさを生み出している。家具相互の端部は揃わない複雑性を意図的に持たせることで、今後異なる家具配置に組み換えとなる場合にも違和感なく成立するデザインとした。依って立つ都市建築と密接に呼応するサイトスペシフィックなデザインであるとともに、今後数多想定されるアートキュレーション/オフィス運用に自由度を与え創発を呼ぶ柔軟性を併せ持たせることで、この場所に在るギャラリー/オフィスの固有の価値を最大化することを目指した。

Principal use
Team
ART GALLERY + OFFICE
Director/Jumpei SHIRAI, Architect/Takumi TAKAMASU
Year
Contractor
2025.1
Location
Chiyoda, Tokyo, Japan
Wataru Co.,Ltd.
Photograph
Munetaka Onodera
GFA
120 sqm
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