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代々木のリノベーション/Yoyogi Renovation -the room of a petit mirage-
この計画は、東京都渋谷区のビンテージマンションのリノベーションプロジェクトです。厳しい最高建築高さの制限がある住宅街に開発されたこの集合住宅は、中庭もあり豊かな共用空間がある巧みな計画物となります。ただし、階高さを抑えつつ複雑な平面形状をしているため、柱型や梁型が大きく、デザインできる空間高さに縛りのある住戸となっています。新たに住まわれる方から断熱性能向上を希望され、現代的な仕様へとフルリノベーションするご相談をいただきました。
このマンションは傾斜地に作られ、表と裏の玄関が違う階にあります。地形の起伏に沿った開発でありつつ、中庭もあるマンションデザインのため空間的に豊で魅力的な住まいです。一方で、柱梁計画が複雑になり、大きな柱と梁による制約が住戸リノベーションのデザインの課題となっています。梁型が大きいだけでなく、床下に付加断熱をご希望されたため、梁底面の高さは床から2.1mを下回る計画が余儀なくされました。こうした高さ計画の圧迫感を軽減するため、梁の側面に鏡仕上げを施し、鏡の映り込みを利用することによる、空間の連続感をデザインしました。また、木天井はフローリングと同じ樹種仕上げとし、木向きによる方向性を活かし、ヌケのある空間を演出しました。
造作家具によるテレビ台と本棚は、水平基調のデザインとなります。空間の方向性と調和するようにしました。
縦材を横材よりも浅くつくることで、横基調を強く感じることができます。また、縦材の端部をテーパー処理することで薄く軽やかな印象を与えるようにデザインしました。
影の落ち方を考慮して縦材をグレー色とすることで、白い横材が浮き上がるような印象を演出しています。
キッチンは限られたスペースの中で最大限の収納能力が得られるように計画しました。全体計画の中で強い機能性を有する造作のため、全体の明るい白いトーンと対比するように黒いデザインとなっています。背面壁はコンロ周りをステンレス仕上げとし、残りを水平基調を強調するボーダータイル仕上げとしました。
キッチンは玄関横に配置されているため、マンション全体と住戸の関係が感じられる空間になるように考えました。
水平基調というインテリアデザインとマンションの傾斜地開発の方法をヒントに、「地層」というモチーフを取り込みました。ボーダータイルを3種類使い、その荒い表情が渋谷という坂の多い場所柄として地層を感じるデザインを提案しました。
このプロジェクトでは回遊性のあるプランを提案しました。空間全体を一体的に利用することができます。限られた空間に最大限の機能と個性を統合するため、生活のイメージをクライアントと共有することでデザインが完成しました。
この提案を機に、築古のマンションに次の世代へと引き継がれ、長く建物の価値が残ることを期待しています。
Principal use
Team
Private Residence
Jumpei SHIRAI, Takumi NAGAI
Year
Contractor
2023.08
Location
Yoyogi, Shibuya, Tokyo, Japan
Kudo Koumuten Inc.
Collaborator
Taka SHINOMOTO(Rhyme design), Photography by Mayu Morita
GFA
69.3sqm
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