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錦糸町のリノベーション/​Kinshicho Renovation

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この計画は築25年の戸建て住宅のリノベーションプロジェクトです。当初家族3人で暮らす計画として作られた住宅は、世代交代を経て子供世帯に引き継がれました。新たな世帯は5人家族で、既存環境は一般的に子供二人分のスペースが不足しています。このプロジェクトの課題は、生活者数の増大による空間不足を、デザインにより補うことで環境改善することです。
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現代の日本の家はnLDKのような住居形式、つまり部屋数によって生活像を形成する住まい形式です。一方で近代化(西洋化)以前の日本の生活は部屋数でなく、いくつのもの「間」を襖の位置によって繋いだり分けたりすることで生活に適応するつくりをしていました。当時は「ちゃぶ台」や「座布団」といった畳上での主な生活様式であったため、生活家具を移動することで多様な使い方ができました。特定の用途に限定しない「連続する間」といった日本古来の住居形式は、大変自由度の高いものだったといえます。今やほぼすべての不動産がnLDK形式により表現され、国民生活は部屋の数により抑制されています。
かつて本家と呼ばれるような「屋敷」(言葉通り屋根と床が固定されて、襖が可動する自由度の高い建物)はその自由度のおかげで、世代を超えて一族の象徴として継承されていました。創意工夫しながら増減する世帯内人数に適応できるかつての日本の生活様式は、今では不便と考えられています。しかし、このプロジェクトにとってかつての日本の家はヒントになると考えました。nLDK様式から脱却することで家族内人口の変化に適応できるのではないでしょうか。錦糸町の戸建てリノベーションでは日本古来の住宅形式を現代に再解釈をすることで、相対的狭さを解決しようと考えました。
一般的に「ダイニング、リビングとつながるアイランド/ペニンシュラキッチン」というLDK様式が人気です。LDKでの設計は、各用途に必要なスペースをパズルのように組み合わせ考えていきます。
この計画では「面積をあてがい、機能を配置する」設計方法ではなく、「最大限大きな空間を確保して、機能を壁に連ねていく」設計方法により、「空間の中央に多様な生活状況を生み出す」ようにしています。これは日本古来の「間」の考え方と西洋的「機能」の折衷計画方法を意図しています。その空間を「アダプティブスペース」(適応する空間)と名付けました。
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出産や子育てをきっかけに「持ち家」を検討する方が多いでしょう。子供のための思考を凝らす方は多いです。しかし子供はどのような性格に成長するかは図れるものではないのです。むしろ個室を与えるタイミングなどで、家族の関係は多様に変化するといえます。
この計画では将来の間仕切り壁計画で最大3つの個室を用意できるように詳細に検討しました。現時点では、大きな空間を用意して家族が壁を介さずに密接して暮らすように提案しました。
さらに、親子の関係、子供同士の関係をつくるきっかけとして「家族の机」を計画しました。横並びの子供の机は父親の机と対面している机、覗き見ることができる机、奥まった机の3種類を計画し子供たちの成長に合わせて居場所を与えることができるようにデザインしました。
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Principal use

Team

Private Residence

Jumpei SHIRAI, Takumi NAGAI

Year

Contractor

2022.04

Location

Kinshicho, Sumida, Tokyo, Japan

Yukawa Construction Co.,Ltd.

Collaborator

-

GFA

67.3sqm

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