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黒電話/Kurodenwa
レトロ再考/Neo nostalgy
東京都・恵比寿にデザインしたシークレットバーならぬシークレット居酒屋です。この居酒屋では「受話器」を使って店員と通話することで隠し扉を開いてもらう「アナログ体験」による入店スタイルを提案しました。クライアントからは「レトロな飲食店」に加え「斬新さ」を求められました。レトロな商業空間を考えると、ついつい懐古主義的な小道具を並べようとしてしまいます。レトロ博物館のような物質的表現ではなく、空間表現として「レトロ」をデザインしました。
現在のスマートフォンに「かつての受話器」がアイコンとして使われることがあります。中には黒電話のフォルムをしたアイコンを使っているものもあります。「受話器」を持ったことのない若い次世代は、黒電話の使い方を「知らない」と考えました。
内部空間は様々な色の光が飛び交い、街灯で明るく均一に照らされた都内の表通りとは様相が異なります。この空間をマクロ的にぼかして観ると東京の夜景のように、たくさんの色が目に飛び込んできます。鮮やかなデザインの照明をミクロ的に目を凝らして視ると4色のスーパーボールが並んでいることが分かります。同色で3個以上連続しない法則に則ったランダムデザインで、全体をじっくり見続けることでその法則を感じることができます。
現代ではスマートフォンや液晶テレビのように高画素になり、細やかな表現としてより多くの詳細情報を表示することを重要視しています。フルハイビジョンから4K、8Kそして16Kへとその歩みは留まることをしません。かつてのカラーブラウン管のテレビを思い出してみます。画面を凝視すると3原色によるドットのノイズを感じていました。黒電話はかつてのブラウン管テレビのようなアナログな光情報体験ができるデザインを目指しました。この空間の光の細部には原始的な発光装置がそのまま目に映ります。
光表現により「レトロ」を空間的に再解釈し表現したデザインです。いくつもの光が重なり暈しあう雰囲気は東京の夜景のようでもあり、故郷の縁日のような錯覚も覚えます。昨今のLED光源による強い演出光でなく、拡散しボケた光の具合が私達にかつての街並みの光を生み出したフィラメントの雰囲気を感じさせてくれることを期待しています。
Principal use
Team
Bar, Restaurant
Jumpei SHIRAI, Takumi NAGAI
Year
Contractor
2022.06
Location
Ebisu, Shibuya, Tokyo, Japan
Busou
Collaborator
SHIOYA Tokyo
GFA
55sqm
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