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HUBiz TAKASAKI
長く親しまれていたビルのリニューアルデザイン
高崎市に位置するこのテナントビルは、元々は長年にわたって地域社会に親しまれていた歯科クリニックでしたが、一時的に空き家となり建物の劣化が進行していました。建物は雨漏りも経験しており、多くの懸念が持たれていましたが、幸いにも構造自体には問題がありませんでした。そこで、新たな役割を与えられ、地元高崎市の新たなシンボルとして愛されるビルへと全面リニューアルされることになりました。
これからも永く愛される建物へ
この鉄筋コンクリート製の建物は、美しいファサードと空間的に優れた既存の建物構成を活かしたデザインが特徴です。今回の改修では屋内でつながっていない1階と2~3階を機能的に整理し、運用しやすい環境を目指しました。地方の人材不足に対応することを背景に、新たに管理運用しやすいシステムを再構成しました。ICカードによる施錠システムと従来の錠前施錠を合わせて計画し、コストパフォーマンスに優れた防犯管理システムを選択する中でバランスよいプランニングとなっています。
2階の空中中庭は漏水の原因箇所であったため防水工事を施し、雨漏りのリスクを低減。また、既存のサッシは全面的に再塗装され、水切りも再設置されました。
デザインは時代を超えるモノトーンのカラースキームで統一され、洗練された都市的な印象を持ちながらも、豊かな共用部としての機能を果たします。
テナントにとっての新しい価値を生むことができるラウンジ空間
中庭を中心に設計された回遊動線は、テナントにとって魅力的な共用スペースを提供するとともに、最大数のテナント空間を確保する計画となっています。この中庭は、空から降り注ぐ光が大きなガラス越しに共用スペースを優しく照らし、他にはない空間的魅力を感じさせます。また、3階には共用テラスが設けられ、イベントなどが開催できるコミュニティスペースとしても機能します。ちょっとした打合せを気分転換にラウンジ空間で行うのも気分転換にはよいでしょう。
空中中庭は2階は回遊動線となる廊下が面しますが、3階はテナント空間も一部面しています。中庭と吹き抜け空間を通じたちょっとした気配などもこの建物に入居したテナントにとって意図しない表現の場となることを期待しています。
建物の魅力をテナント空間に
既存建築の構造は現代的で魅力を感じる壁式ラーメン構造の鉄筋コンクリート造です。壁式と名がつくようにいたるところに鉄筋コンクリートの美しい壁があります。これは構造的に必要な壁であり、建物の最大の特長といえます。この建築物の魅力を引き出すことを考えて計画したデザインとして鉄筋コンクリートの壁を極力隠さないで露出するようにしています。利用者が力強い構造体の魅力を感じ、訪れるひとが建物の再生と活用に興味を覚えてもらえることを願っています。
施設名HUBiz TAKASAKI
施設名はHUBiz TAKASAKIです。ハビスタカサキと読みます。ハブとビジネスを掛け合わせた名前は、これから高崎で新しいビジネスが生まれつながる場所となるように考えられたものです。このオフィスではスタートアップ企業が使いやすいコンパクトで小さなテナント空間が集まっています。小さいものでは10㎡程度、広いところでも40㎡程度です。その中で順次事業に応じた空間に引っ越していくことが可能で、将来的にこの場所がビジネスの発祥地として自慢になるような拠点を目指しています。
このようにして、古くからの建物を大切にしながらも、新しい命を吹き込まれたこのビルは、次の数十年にわたって高崎市の象徴として、また地元住民に愛され続けることでしょう。
Principal use
Team
Office
Jumpei SHIRAI, Takumi NAGAI
Year
Contractor
2024.04
Location
Takasaki, Gunma, Japan
Togiya
Collaborator
Atsushi Koganezawa(Air flow design)
GFA
599.39sqm
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